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なぜ江の川は氾濫したのか?

7月14日(火)島根県西部を流れる江の川が氾濫し、浸水被害は143戸に上っています(国交省推計値)。

当時、川本、江津市桜江町など浸水被害が大きかった地域で取材すると、

地元の方は「そんなにこっちは雨が降っていない」「広島側がかなり降ったんだろう」と口を揃えました。果たして本当にそうなのでしょうか?

今月13日から降り始めた雨は14日朝にかけ降り続き、江津市桜江町144.5ミリ。上流にある広島県三次市君田で210.5ミリを記録しました。

確かに広島県側の方が雨量が多く、上流で降った雨が集まり、下流の島根県側で氾濫したと考えられます。

国交省によると、江の川では近年、2日雨量200ミリ前後で氾濫を繰り返しています。

平成30年(西日本豪雨)、22年、18年、11年、10年、7年です。

気象庁の予報で『あすかけ多いところで150ミリ…あさってにかけ200ミリ…』というレベルは今年だけでも何度も発表されています。

江の川下流域に住む方々は大雨の時は広島側の天気予報を見ていると言われます。気象予報士としては耳の痛いご指摘です。

島根県唯一の放送局として、取り組む必要性をまた痛感させられました。

また『時差』にも注目する必要がありそうです。

雨が止んだのは、三次市君田で14日の午前5時。江津市桜江で午前6時。

一方、水位のピークは、三次市五日市の尾関山観測所で午前8時。美郷町都賀で午前10時。美郷町浜原で午前10時。川本町で午後0時、

江津市桜江町谷住郷で午後3時。江津市川平で午後3時と上流部と氾濫した下流では最大7時間の時差もありました。

これは川の流れによる時差に加え、支川が中国地方最多の293本、

さらに一旦瀬戸内川に流れ、その後中国山地を縦断するという『先行川』という成り立ちも影響している可能性があります。

江の川は長さ、流域面積ともに中国地方最大。上流部は広島県側にあり、源流は広島県芸北町の阿佐山にあります。

江の川は元々はなだらかな川でしたが、中国山地が隆起。川の勢いが中国山地を削り、深い谷を形成し、日本海側に流れて込みます。

このため、中流域では中国山地の雨の多くが江の川に流れ込む構造になっています。

『江の川下流域は2日間200ミリで溢れる』堤防が完成していない現状では避けられそうにありません。

下の画像は国交省による江の川流域です。中国山地中央部の雨の多くが江の川に流れ込むことが地図を見るだけで想像できるのではないでしょうか。

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